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夜8時。帰ってきて、まな板を置いたら作業台が埋まった。切った玉ねぎの置き場がなくて、シンクの縁に皿を載せる。味噌汁の鍋をコンロに載せたら、肉を焼く火がもう無い。そこで手が止まって、気づけばカップ麺のお湯を沸かしている。
「キッチン 狭い 料理」とスマホで打ったお前に渡すのは、台所を広げる話じゃない。置く場所1つと火1つを、どの順で何に使うかの話だ。
先に結論:台所はそのままで、一食を4つの順に分ける
①始める前に、調理台の上を空ける。 ②切るのは1回にまとめる。生で食べる野菜→加熱する野菜→肉・魚の順。 ③コンロに載せるのは1品。もう1品はレンジか、凍ったまま加熱できる冷凍野菜に回す。 ④主食はコンロに載せない。パックご飯か、レンジで炊く。
4つもあるのか、と思ったよな。4つとも道具を買い足す話じゃない。今夜の台所で、物の置き方と手を動かす順を変えるだけで済む。
狭いキッチンで手が止まるのは、2品目に取りかかったとき
1品目までは、狭い台所でもちゃんと回る。止まるのは2品目を始めた瞬間だ。まな板を置く場所も、鍋を載せる火も、1品目がもう使っている。
| 手が止まる場面 | 足りないもの | この記事の答え |
|---|---|---|
| まな板を置いたら、切った野菜の置き場がない | 調理台の広さ | 始める前に調理台の上の物をどける |
| 野菜のあとに肉を切りたいが、洗う場所も狭い | まな板と流し | 切るのを1回にまとめ、肉・魚は最後に回す |
| 味噌汁を煮ていて、おかずを焼く火がない | コンロの口 | コンロは1品。もう1品はレンジへ |
| おかずはできたが、ご飯を炊く場所がない | 火と時間 | 主食はパックご飯かレンジ炊飯 |
詰まるのは2品目だ。1品目を作れているなら、お前の手順はもう半分できている。 足りないのは置く場所と火の数で、それは今夜の順番で埋められる。
一口コンロで一食を組む4ステップ
- 調理台の上を空ける。 厚生労働省は、家庭でできる食中毒予防の「下準備」の最初にこれを挙げている。台所を見渡して、調理台の上を片づけ、広く使えるようにしておく。水切りかごの皿、出しっぱなしの調味料、買ってきた袋を、いったん全部よそへどける。
- 切るのは1回にまとめる。 順番は、生で食べる野菜→加熱する野菜→肉・魚。厚労省は、生の肉や魚を切った包丁とまな板を、洗わずにそのまま生で食べる野菜や調理済みの食品に使わないよう言っている。肉・魚を最後に回せば、洗うのを、肉・魚を切ったあとにまとめられる。ただし肉・魚を切ったら、包丁とまな板は洗ってから熱湯をかける。この順にしても、洗わずに済むわけじゃない。
- コンロは1品だけ。 炒め物か汁か、火に載せるのはどちらか1品に決める。もう1品はレンジか、切らずに使える冷凍野菜に回す。レンジでは電子レンジ用の容器とふたを使う。加熱時間に気をつけて、熱の通りにくいものは途中でかき混ぜる(厚生労働省)。
- 主食はコンロに載せない。 ご飯はパックご飯を温めるか、レンジで炊く。パナソニックは、炊飯器が無いときや一人暮らしで少しだけ炊きたいときに、電子レンジ炊飯が便利だと案内している。1合なら米1合に水190cc、約1時間吸水させて600Wで約6〜7分。混ぜてラップをし、約5分蒸らす。容器は、米と水を入れた高さの2倍以上の深さがあるものを使う。浅いと吹きこぼれやすい。

②で引っかかる人が多い。狭い作業台だと、生の肉と切っておいた野菜の皿がどうしても近くなる。厚労省は、生の肉や魚の汁が、生で食べるものや調理の済んだ食品にかからないようにとも書いている。まな板の横に皿を置くなら、肉を切る前に皿のほうを奥へよけておけ。
まな板を肉用・魚用・野菜用に分けるとさらに安全だ、とも厚労省は書いている。分けられるならそれがいい。1枚しか置けない台所なら、この順番と洗い方で回す。
もうひとつ。一口コンロだと、1品目を先に作って置いておく時間ができる。厚労省は、料理を途中でやめて室温に置くと細菌が付いたり増えたりするので、途中でやめるときは冷蔵庫に入れるよう言っている。作りかけを台に出しっぱなしにせず、冷蔵庫へ戻す。それと、コンロに火をつけたら、その間にレンジの1品を回し始める。待たせる時間がそもそも短くなる。
コンロの1品とレンジの1品は、2通りに振り分ける
何をどっちに回すか、毎回迷うと手が止まる。振り分けは、この2通りしか使わない。
| コンロに載せる1品 | コンロの外で済ませる1品 | |
|---|---|---|
| A | 汁(味噌汁・スープ) | おかずをレンジで作る |
| B | おかず(炒め物・焼き物) | 汁はお湯を注ぐだけのものにする |
Bの日は、炒め物を始める前に電気ケトルでお湯を沸かしておく。2品を同じ火に載せようとしなければ、一口のコンロでも一食は組める。
レンジで作るおかずの手順そのものは、電子レンジで組む一人暮らしの食事に書いてある。火を一度も使わない日の組み方も、そっちに置いた。
まな板を出さない日を、冷凍野菜で作る
日本冷凍食品協会によると、ほとんどの冷凍野菜は凍らせる前に熱湯や蒸気で下ゆでしてある。生の野菜を調理するときの70〜80%ほどの加熱だ。だから凍ったまま煮る・蒸す・炒めるのが基本で、加熱は生の野菜の2〜3割の時間で足りる、と協会は書いている。
狭い台所でありがたいのは、凍ったまま加熱できるところだ。袋から鍋かレンジ用の容器へ移せば、まな板も包丁も出てこない。4ステップの②がまるごと抜ける日を、週に何日か作れる。
ただし協会のページには、大根おろしや山芋のような例外も挙がっている。冷凍野菜をひとくくりに扱える、とは思わないでくれ。冷凍食品を一人暮らしの食事にどう組み込むかは、冷凍食品の話にまとめてある。
まな板を出さない晩があってもいい。冷凍野菜を袋から出して、パックご飯を温めれば、それで一食だ。
狭いキッチンで、物を置かない3か所
狭い台所だと、空いている場所にいつの間にか物が流れてくる。だから置かない場所だけ、先に3つ決めておく。
- 使っていない2口目や、ヒーターの上。 NITE(製品評価技術基盤機構)は、調理家電の事故を防ぐポイントに「熱くなる場所には調理器具以外の物を置かない」を挙げている。IH調理器のラジエントヒーターの上に置いた燃えやすい物が発火する再現映像も出している。ほとんど使わないヒーターの上でも、物置にはしない。
- コンロのまわりと、コンロの上。 東京消防庁は、コンロの火災を防ぐ注意として、コンロの周りに燃えやすいものを置かない、コンロの上にふきんなどを干さない、調理中はそばを離れない、などを挙げている。レジ袋やキッチンペーパーを脇に寄せたくなっても、ここは空けておく。
- 調理台を、解凍の置き場にしない。 凍った肉を調理台に出しっぱなしにして解凍しない。解凍は冷蔵庫の中か電子レンジで、使う分だけにして、終わったらすぐ調理する(厚生労働省)。
脅かしたいわけじゃない。この3か所が空いていれば、置き場を探して手が止まる回数が減る。
よくある迷い
ワンルームだと料理の匂いがこもるのが嫌で、作らなくなる 匂いを消す方法がどれだけ効くか、俺は確かめた資料を持っていない。だから段取りで答える。匂いが気になる日は、焼いたり炒めたりする1品を外して、レンジのおかずと冷凍野菜とパックご飯で組む日にする。
一口コンロで、2品作れる? 作れる。2品目を同じ火に載せず、上のAかBのどちらかでレンジかお湯に回す。主食もコンロから外せば、火が要るのは1品だけになる。
作れない夜のために、棚と冷凍庫に受け皿を置く
4つの順番を知っていても、帰りが遅くて台所に立てない夜はある。そういう夜は作らなくていい。代わりの行き先を下に並べた。
- 主食だけでも家にあれば助かる → パックご飯の選び方
- 作る日を週に何日にするか決めたい → 自炊がしんどいときの作る日の減らし方
- 自炊しない日に何を食べるか迷う → 自炊をやめた日の食べ方
- 作らない夜を冷凍の弁当で埋めたい → 一人暮らしの冷凍宅食の使い方
- フライパンを何枚置くかで迷っている → 一人暮らしのフライパンの枚数とサイズ
台所の広さは、今夜は変わらない。変えられるのは手を動かす順番のほうだ。皿と袋をどけた作業台が1枚あれば、今夜の一食はそこから組める。


