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夜11時。コンロの上に、半分残った鍋がある。白菜はくたっとして、つゆはまだぬるい。「冬だし、朝まで置いといても平気だろ」とふたをして、台所の電気を消しかける。俺も同じことをやりかけたことがある。

お前が寝る前にスマホで「鍋 次の日」と打ったなら、話は簡単だ。その鍋は、今夜のうちにコンロから下ろせば明日の1食に回せる。そうすれば明日の晩飯がひとつできあがる。

先に結論:今夜のうちに小分けして冷蔵、明日食べきる

鍋の残りはこう回す

①今夜のうちに、具とつゆを浅い容器か袋に小分けして冷蔵庫へ入れる。 ②翌日に食べきるつもりで組む。食べる前は沸騰するまで温め直す。 ③次の鍋からは、つゆを1人前のミニパックにして、残る量そのものを減らす。

なぜ朝まで置かないのか、なぜ一人鍋はそもそも残るのか。順に話す。

一人鍋は、つゆ1袋の時点で残る

ミツカンの「〆まで美味しい 寄せ鍋つゆ ストレート」は、1袋750g。同じミツカンの公式レシピ「寄せ鍋」は、この1袋を使って材料4人分で作っている。

確かめたことミツカンの公式情報
寄せ鍋つゆ ストレート 1袋の内容量750g
公式レシピ「寄せ鍋」で1袋を使うときの人数材料4人分
パウチのつゆの使い方基本は1回で使い切る商品

(出典: ミツカン 商品情報・おうちレシピ「寄せ鍋」・お客様相談センター)

4人分のレシピに使う袋を、一人で開けて全部入れる。つゆ1袋を使った時点で、一人鍋は残ると決まっている。 4人分の鍋を一人で食べきれないのは、誰がやっても同じだ。

だったら、残ったあとの段取りを先に持っておけばいい。夜中に鍋の前で悩む時間が、それで要らなくなる。

コンロに置いたまま朝まで、をやめる

厚生労働省は、調理した後の食品を室温に長く置かないよう言っている。残った食品は、早く冷えるように浅い容器に小分けして保存する、とも書いている。

「でも冬だし」と思ったよな。そこに答える実験がある。エフコープ生活協同組合の検査センターが、寄せ鍋・みそ汁・カレーを作り、温度を変えて2日間置いて菌の数を調べたものだ。あくまで生協の実験の一例として載せる。

置いた温度結果(エフコープの実験の一例)
4℃1〜2日で菌はほとんど増えなかった
10℃1〜2日で菌はほとんど増えなかった
25℃(暖房の効いた室内を想定)調理後1日で菌が大幅に増え、同生協の惣菜の自主基準(1gあたり10万個以下)を上回った

同じ記事には、最近は冬場でも室内は意外と暖かい、とある。暖房をつけて鍋を食べた部屋のコンロの上は、この表でいえば25℃の側だと思っておいたほうがいい。10℃の行を見て「暖房を切った部屋なら置いていい」とは読まないでくれ。厚生労働省も農林水産省も、常温のまま置かないよう言っている。

農林水産省が、カレーやシチュー、煮物といった煮込み料理全般の注意として挙げるのがウェルシュ菌だ。増えやすい温度は約12〜50℃で、芽胞は100℃で加熱しても生き残る。明日の朝に沸騰させるから、と鍋をコンロに置いたまま寝るのは、この理由でやめておく。

夜の台所で、土鍋に残った鍋の具とつゆを浅い保存容器2つと平たい保存袋に小分けしている手元。横で冷蔵庫の扉が開いている

怖がらせたいわけじゃない。今夜あと少しだけ手を動かせば、お前の明日の晩飯がひとつ決まる。そういう話をしている。

残りを明日の1食にする4ステップ

  1. 具とつゆを鍋から出して小分けする。 きれいな容器と箸を使って、浅い容器か保存用の袋に1食分ずつ分ける。浅く平たくするのは、早く冷ますためだ(厚生労働省・農林水産省)
  2. 冷めたら冷蔵庫へ入れる。 鍋ごと入れると冷めるのに時間がかかる。冷ます間も、ふたを開けっぱなしで置いておかない。開けたままだと周りの菌が入ることがある、とエフコープ生協のQ&Aにある。冷蔵庫は10℃以下がめやす。詰めすぎに注意して、中身は7割程度にとどめる(厚生労働省)
  3. 翌日のうちに食べる段取りで組む。 晩でも昼でもいい、翌日のうちに食べると決めておく。明日のうちに食べないと分かっているなら、今夜のうちに冷凍庫へ回す。ただし、冷凍しても菌は死ぬわけではない。凍らせた分も早めに使い切る(厚生労働省)
  4. 食べる前は、沸騰するまで温め直す。 厚生労働省は、温め直しのめやすを75℃以上とし、味噌汁やスープなどは沸騰するまで加熱するよう言っている。農林水産省は、おたまで鍋底までかき混ぜて中心まで加熱するよう書いている

4つ並べると多く見えるな。今夜手を動かすのは①と②の2つになる。煮込み料理の残りは、鍋でもカレーでも同じ考え方で回せる。カレーの量の決め方から知りたいならカレーを一人分で作る話へ。

レンジで温めるなら、コンロより気をつけたい。

エフコープの実験のまとめも、冷蔵庫の中で保存していても食べる前に十分に加熱するよう言っている。それと、開けたときに少しでも怪しいと思ったら、食べずに捨てる。厚生労働省の注意書きにも、同じ言い方がある。

朝に作って夜に食べるなら

朝に仕込んで出かけたいお前の気持ちは分かる。俺なら、朝は鍋に火を入れない。

翌日は足すだけ:雑炊かうどん

温め直した残りに足すものは、2通りに絞っておく。

冷蔵庫には小分けした鍋の残り、棚にはパックご飯。明日の晩飯は、これでひとつ片づいた。帰り道に献立を考える必要もない。

次からは、残らない量で作る

ミツカンには、1人前から使える「鍋つゆミニパック」がある。最初から1人前のつゆで作れば、コンロの上に半分残る夜そのものが来ない。

大きい袋でつゆだけ余った日の扱いは、ミツカンのお客様相談センターがこう答えている。

ここまでの4点は煮る前のつゆの話で、煮たあとの鍋の残りが同じように扱えるという意味ではない。鍋の残りの日持ちには当てはめない。

つゆを1人前にしたら、具も一人分にそろえる。豚バラと白菜で組む一人鍋の材料と手順は、一人鍋の作り方に書いた。

よくある迷い

鍋の残りは、冷蔵で何日もつ? 公的機関やメーカーが、煮たあとの鍋の残りを冷蔵で何日と決めた数字は、俺には見つけられなかった。だから俺は翌日で食べきる。時間が経ちすぎた残りは、もったいなくても捨てる。厚生労働省も、時間が経ち過ぎたら思い切って捨てるよう書いている。

毎日沸騰させて、継ぎ足しで回していい? 俺はやらない。上で書いたとおり、ウェルシュ菌の芽胞は100℃でも生き残る。継ぎ足しで何日も回してよいと言っている公的な資料も、俺は見つけていない。鍋は翌日でいったん空にして、洗ってしまう。

においが平気なら食べていい? においが変わらないから大丈夫、とは俺は言わない。エフコープ生協の解説では、菌が増えるとぬめりやにおいが出ることが多い。だが、においや見た目が変わらない菌もあるという(エフコープ生協の実験の一例)。置き方が怪しかった鍋は、においに関係なく捨てる。厚生労働省も、ちょっとでも怪しいと思ったら食べずに捨てるよう言っている。

今夜は鍋を空にして、明日の晩に温める

鍋が残ったら、今夜のうちに浅い容器へ小分けして冷蔵庫に入れる。明日の晩に沸騰するまで温め直して、ごはんかうどんを足して食べきる。次の鍋は、1人前のつゆで作る。やることはこの3つに収まる。

小分けの先で引っかかる場所ごとに、続きを置いておく。

コンロの上の鍋を冷蔵庫に移したら、今夜は安心して寝てくれ。