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日曜の夜、1人分じゃ作りにくいからと鍋いっぱいに味噌汁を作る。月曜と火曜は飲んだ。水曜の夜、鍋はまだコンロの上にある。蓋を開けて「これ、まだいけるか?」と迷って、結局流しに捨てる。そして次の週は、もう作らない。

汁物が食卓から消えるのは、だいたいこの流れだ。お前が怠けたわけじゃない。1人分は少なすぎて作るのが面倒で、まとめて作ると鍋のまま残る——一人暮らしの味噌汁には、この量の問題がついて回る。

先に結論:味噌を入れる前で止めて、鍋のまま置かない

家族なら1回で飲みきる量が、1人だと何回分にもなる。だから俺は、作り置きの約束を2つに絞っている。

味噌を溶く手前で作るのをやめて、鍋のまま置かずに小分けする。

形は2つある。

どっちを選ぶかは後の表で決められる。ややこしく聞こえるよな。でも、やることは「鍋で作る日」と「飲む日」を分けるだけだ。主菜まで含めた作り置きが続かない人は、作り置きが続かない話も合わせて読んでくれ。

鍋のまま置くと、何がまずいのか

ここは怖がらせたいわけじゃない。手順の理由として、一度だけ話しておく。

煮込み料理の食中毒の原因になる菌に、ウェルシュ菌がいる。農林水産省によると、約12〜50℃で増えて、酸素の少ない環境で増えやすい。鍋の底みたいな所だな。原因食品は煮物やカレーだけでなく、スープや麺つゆでも発生した例がある。汁物も対象に入るってことだ。

しかもこの菌は、100℃で1時間の加熱にも耐える芽胞を作る。「一度沸かしたから大丈夫」とは言えない。火を止めた鍋がコンロの上でゆっくり冷めていくあいだが、ちょうど増えやすい温度を通り過ぎる時間になる。

じゃあどうするか。農林水産省と厚生労働省の予防策を、一人暮らしの鍋1つに置き換えるとこうなる。

鍋のまま置かないための3行

①火を止めたら、底の浅い平たい容器か保存袋に小分けする(温度が早く下がりやすい)。②あら熱をできるだけ早く取って、冷蔵庫か冷凍庫へ入れる。③温め直すときは、おたまで鍋底までかき混ぜて中心まで加熱する(75℃以上が目安)。

これで安全が保証されるわけじゃない。でも、まず鍋のまま常温に置かないことだけは決めておく。火を止めたあとのコンロの上も、常温だ。厚生労働省の目安では、冷蔵庫は10℃以下・冷凍庫は−15℃以下で、詰めるのは7割程度まで。小分けの容器を突っ込む前に、冷蔵庫の中も少し空けておいてくれ。

形A:だし+具で止める

鍋で作る日は、いつもどおりだしを取って具を煮る。違うのは、具に火が通ったところで火を止めて、味噌を入れないこと。そこで浅い容器か保存袋に小分けする。具は、俺は大根や玉ねぎ、きのこみたいに、だしで煮て火を通すものを使うことが多い。

味噌を入れない理由は2つあって、2つを分けて持っておくと判断がぶれない。

  1. 味の理由:マルコメの基本の味噌汁では、味噌は沸騰させると風味が落ちるので、沸騰が収まってから溶くとしている。温め直すたびに沸かすなら、味噌は飲む直前に溶いたほうがうまい
  2. 根拠の理由:味噌を溶く前のだし汁には、メーカーが示している保存の目安がある。一方で、味噌を溶いた味噌汁が何日もつかは、俺が当たった範囲では公的機関も味噌メーカーも日数を示していなかった

マルコメの「だし汁の保存方法」では、よく冷ましてから容器に入れ、冷蔵なら2日ほどで使い切る。冷凍なら保存袋・製氷器・タッパーで3週間ほど。製氷器で凍らせたら保存袋に入れ直す。風味は変わっていくので早めに、とある。

コンロに置かれたままの蓋つき鍋と、冷凍庫の引き出しに平らに凍らせて並べた保存袋

ここからは俺の判断だ。これはだし汁の目安で、具が入った分の話じゃない。 だから具入りの「だし+具」は、だし汁の目安より長く置かないと決めている。冷蔵なら2日以内、それより先に飲むなら最初から冷凍に回す。

飲む日の手順はこう。

1人分の分量は、マルコメのレシピ(2人分でだし320cc・味噌32g)を半分に割ると、だし約160cc・味噌約16g。小分けの袋もこの量に合わせておくと、飲む日に量らずに済む。日曜にまとめて仕込む流れ全体は、日曜30分の作り置きの話が近い。

形B:味噌玉にする

鍋を出すのも面倒な朝向けの形がこっちだ。味噌と具を合わせて丸め、ひとつずつラップで包む。具は、湯を注ぐだけで食べられるものを選ぶ。

マルコメのレシピにある扱いは、この3つだ。

冷凍して固まらないかと心配になるよな。マルコメによると、味噌そのものは一般家庭用の冷凍庫(−20℃)では凍らない。だから冷凍庫から出してすぐ湯を注げる。ただし凍らないのは味噌の話で、中の具まで同じとは限らない。

保存の目安は、にんべんのコラムでは冷蔵で1週間程度、冷凍で1カ月程度とされている。ただ同じコラムに、冷凍でもできるだけ早く使ったほうが風味がいいとも書かれている。1カ月は「もつ期限」じゃない。早めに使い切るつもりでいてくれ。容器はできるだけ密閉して、作った日を書いておくと管理しやすい。

朝に汁物を1杯足したい人は、朝ごはんの話も読んでおくと組み合わせが見える。

どっちを選ぶか:朝に鍋を出せるかで分ける

決め手は飲む時間帯だ。鍋を火にかける余裕がない朝に飲むなら味噌玉、夜に温める時間があるならだし+具。

形作る日の手間飲む日の手間保存の目安(出典のあるものだけ)向く人
だし+具だしで具を煮て、小分けして冷ます解凍して温め、火を止めて味噌を溶くだし汁で冷蔵2日ほど・冷凍3週間ほど(マルコメ)。具入りはこれより長くしない夜に鍋かレンジで温める時間がある人
味噌玉味噌と具を丸めて1個ずつラップ湯150〜160ccを注ぐ1週間以上は冷凍・早めに(マルコメ)/冷蔵1週間程度・冷凍1カ月程度とされる(にんべん)朝に鍋を出せない人

両方やる必要はない。慣れてから俺が組むなら、平日の朝は味噌玉、週末の夜はだし+具に分ける。冷凍庫が小さい人は、だし+具の袋で詰め込みすぎになりやすい(さっきの7割程度の話だ)。その場合は味噌玉にするか、だし+具を冷蔵2日の範囲で回すほうが合う。

両方そろえようとして、日曜が丸ごと台所で終わったら続かないぞ。1つの形が3週続いたら、そのとき初めてもう1つを考えな。

やりがちな3つ

作り置きの味噌汁で、もったいない捨て方をする人はだいたいこの3つのどれかにはまっている。

  1. 鍋のままコンロに置く:増えやすい温度をゆっくり通る時間が長くなる。火を止めたら浅い容器に小分けする
  2. 味噌入りで何度も沸かし直す:沸騰させるたびに味噌の風味が落ちる。味噌は飲む分にだけ、最後に溶く
  3. 「まだいけるか」を日数で決めようとする:味噌入りの日数は、俺が当たった範囲では公的機関も味噌メーカーも示していない。だから捨てる線を引く材料は、容器に書いておいた日付になる

3つ目は特に大事だ。厚生労働省も、時間が経ちすぎたものは思い切って捨てるように言っている。日付を書いておけば、「だし+具はだし汁の目安を過ぎた」「味噌玉は冷蔵で1週間を過ぎた」と、蓋を開ける前に決められる。流すのは失敗じゃない。 迷って飲むより、ずっとまともな判断だ。

作れない週の逃げ道:フリーズドライ味噌汁でつなぐ

繁忙期や体調の悪い週は、だし+具も味噌玉も作れない日が来る。そこで作り置きをゼロに戻すと、汁物の習慣ごと切れてしまう。

そういう週は、湯を注ぐだけのフリーズドライ味噌汁でつなぐ。作り置きをやめろという話じゃない。作れない週の穴埋めだ。どう選ぶかはフリーズドライ味噌汁の選び方にまとめてある。棚に数個あるだけで、「今週は汁物なし」がなくなる。

朝の窓際、小さなテーブルで味噌汁とごはん、青菜の小鉢を前にした男性の横顔

汁物が1杯あると、野菜の入口になる

厚生労働省のe-ヘルスネットでは、野菜は1日350g以上が推奨で、成人の平均は男性約290g・女性約270g。あと約70g足りていない計算になる。

味噌汁1杯で何g摂れるかは、具の量しだいで俺には言えない。それでも、汁物が毎日1杯あれば、その足りない分を具で埋めにいく入口ができる。具を1種類増やす場所が、毎日の食卓に1つ生まれる。 野菜がそもそも取れていない人は、野菜が取れない話も読んでくれ。

日曜の鍋で、味噌を溶く手前で火を止める。浅い容器に分けて、日付を書く。それが無理な週はフリーズドライ味噌汁で埋める。水曜の夜、コンロの上はもう空いている。