結論から言う。自炊は「食材費だけ」で見れば安い。だが、一人暮らしで食材ロスと時間まで入れると、必ずしもコスパはよくない。

「自炊できない自分が悪い」と思う必要はない。問題は意志じゃない。1人分を毎日作り、余らせず、買い物して、片付けまで回す構造が重いんだ。

自炊が安く見える理由

自炊が安く見えるのは、計算に入れている範囲が狭いからだ。

たとえば夜ごはんを1食作る。米、肉、野菜、調味料を使って食材費が350円。これだけなら、コンビニ弁当や外食より安い。ここで話を止めるから「自炊は節約」になる。

だが実際の支払いと負担はそれだけじゃない。

  • 食材費:1食300〜500円
  • 光熱費:ガス・電気・水道で1食30〜80円
  • 買い物時間:往復20〜40分
  • 調理と片付け:30〜60分
  • 食材ロス:使い切れず捨てた分

週5回自炊すると、調理と片付けだけで週3〜5時間を使う。月に直せば12〜20時間だ。時給1,000円で見ても、時間コストは月12,000〜20,000円になる。

もちろん時間を全部お金に換算しろという話じゃない。だが、疲れて帰った夜の1時間は軽くない。そこをゼロ円扱いするから、判断を間違える。

一人暮らしは食材を使い切りにくい

一人暮らしの自炊で厄介なのは、食材が1人前で売られていないことだ。

キャベツは半玉でも多い。にんじんは3本入りが多い。肉は安く買おうとすると大きめのパックになる。卵は10個入り。調味料は一度買えばしばらく持つが、使い切る前に飽きることもある。

自炊が得意な人は、これを冷凍や作り置きで処理する。だが、それにも管理がいる。冷凍する、日付を書く、使う順番を決める。これを毎週できる人は強い。できない人が弱いんじゃない。管理タスクが多いだけだ。

月に2回、300円分の野菜や肉を捨てるだけで年間7,200円が消える。月に4回なら年間14,400円だ。見えにくいが、これは食費だ。

「安い自炊」は条件がそろった人の話だ

自炊で本当に節約できる人には条件がある。

  • 週に3回以上、同じ食材を使い回せる
  • 冷凍保存を面倒がらない
  • 買い物に行く日を固定できる
  • 余った食材から献立を組める
  • 調理と片付けを負担に感じにくい

この条件がそろうなら、自炊は強い。米を炊き、汁物を作り、肉や魚をまとめて使えば、1食400円台で回せる。

逆に、仕事の終わりが遅い、帰宅後に判断力が残っていない、食材を余らせる、同じメニューに飽きる。この状態なら「自炊しているのに節約にならない」が起きる。

それは能力の問題じゃない。生活リズムと自炊の仕組みが合っていない。

外食に全振りすればいいわけでもない

では自炊をやめて外食にすれば解決か。そこも違う。

外食は楽だが、1食900〜1,200円になりやすい。平日の夜に週5回使えば、月20回で18,000〜24,000円。昼も外で食べるなら、食費は一気に跳ねる。

コンビニも同じだ。弁当、サラダ、飲み物を買えば700〜1,000円になる。買うのは簡単だが、毎回選ぶ必要がある。疲れている日は揚げ物と炭水化物に寄る。

つまり、自炊だけが正解でもないし、外食だけが正解でもない。見るべきなのは「1食の値段」だけではなく、時間、手間、栄養、捨てる食材まで含めた総額だ。

コスパは生活に合うかで決まる

自炊を続けるなら、食材費だけで勝った気になるな。月の食費、捨てた食材、買い物回数、調理時間を一度だけ書き出せ。

たとえば、平日は2日だけ自炊、残りは冷凍弁当や惣菜を使う。休日に米だけ炊く。野菜はカット野菜や冷凍野菜で固定する。このくらい割り切ると、食費も疲労も読みやすくなる。

大事なのは「自炊するか、しないか」ではない。自分の生活で本当に安く、続けられる形を選ぶことだ。

節約のために毎晩すり減っているなら、その自炊はもう安くない。数字で見ろ。生活に合わない努力は、早めに組み替えればいい。